概要
高知県佐川町の道の駅・おもちゃ美術館のプロポーザル提案です。
『さかわの「モノ」「ヒト」「コト」が編みこまれた発信拠点』をコンセプトに自然と人、外部と内部が並置する建築のありかたを目指しました。
物販、産直、食堂、ものづくり、観光案内所といった用途ごとに分節された家型のヴォリュームを連続させ、各ヴォリュームがズレながら連なることで、内部だけでなく外部にも心地よいスケールの空間を生み出します。各ヴォリュームのあいだにある透過性の壁が空間を緩やかに分節/接続することで、人々のアクティビティを生み出してゆきます。
佐川町への入口を意識し、連続する酒蔵や店舗といった伝統的な街並みと美しい山なみを同時に想起させる『風景と呼応するルーフスケープ』を意図しました。切妻の勾配屋根は屋内に異なる気積の場所をつくり、おおらかに多様な活動を受け入れてゆきます。
この建物は、佐川町が推進する自伐型林業の製材を活用した「中大規模木造建築物」のプロトタイプと位置づけられます。中小径の様々な長さの製材を組み合せて構築できる「組子格子耐力壁」は自伐型林業による製材と親和性の高い工法であり、今後も様々な建築で展開できる可能性があります。50年後・100年後に価値ある山づくりを目指す佐川町において、この建物は森林と人間との将来に渡るサスティナブルな循環型の共生関係を示す象徴となります。山や森と共生する、さかわ流・自伐型林業の発信拠点としてふさわしい建築となることを企図しました。 |